アルミニウムの特性PROPERTY
アルミニウムは耐食性、加工性も良く、マグネシウム(Mg)等の元素を添加することにより強度を高かめることができ、軽量で美しくデザインの多様化に対応可能な優れた特性を持っています。
1.軽くて強い
アルミニウムの比重は2.7で鉄の7.8に比べると約1/3であり、工業的に利用できる金属の中ではマグネシウムに次いで軽い金属です。
アルミニウムに他の金属元素(Mg、Mn、Cu、Zn、Si)を添加することによりアルミニウム合金となります。さらに加工、熱処理を組み合わせることにより高強度化をはかることができます。
中でもA-Mg系合金(5000系)とAl-Mg-Si系合金(6000系)は、土木、建築用として最も多く利用されており、その強度と軽さから比強度(単位重量当たりの強度)に優れた材料として、軽量化が要求される分野で広く活用されています。
5000系合金は耐食性に優れ、中でも5083合金は溶接構造用として歩道橋、水門等の土木関係、船舶、車両、圧力容器に使用されています。また、5052合金は中程度の強度を有しており、加工性に優れるため、一般板金、車両、建築用に使用されています。
6000系合金は加工性に優れ、中でも6063合金は押出性が良く複雑形状の断面を作ることができ、デザインの多様化に対応可能です。鉄鋼製品と比較して軽量化がはかれるため建築、土木用に使用されています。
また、6061合金は熱処理を施すことにより鋼材と同等の強度が得られる上に、押出性も良いことから陸上構造物に使用されています。
2.耐食性が良い
アルミニウムは空気中で自然に酸化しやすく、表面に緻密で安定な自然酸化皮膜を生成します。この皮膜が腐食を防止するため耐食性に優れており、他の金属には見られない特性の一つです。
Al-Mg系合金、Al-Mg-Si系合金は耐食性と強度を兼備えた構造用材として広い分野で使用されています。中でもAl-Mg系合金はマグネシウムを多く含み、耐孔食性の向上効果と酸化皮膜の成長促進効果により塩素イオンの多い環境(海洋雰囲気)における耐食性が良いと評価されています。
3.加工性が良い
アルミニウムは加工性に優れており、さまざまな断面、形状のものを作ことができます。
中でも熱間押出加工では、中空形状含めたあらゆる形状の押出形材の製造が可能であり、さらにこの形材を成形したり、切削、溶接することも比較的容易です。またアルミニウムは融点が低く、鋳造性が良いため、複雑な形状の鋳物材の製造が可能です。鋳物材を押出材や板材と適切に組み合わせることにより、都市機能や周辺の環境構造体に調和するデザイン性に優れた照明ポールや高欄などの土木製品を製造することができます。
4.仕上げが美しい
アルミニウムは生地のままでも自然環境において耐食性に優れ、美しく現代にもマッチングする金属です。表面を固くしたり、防食効果を高めたり、装飾効果を上げるために化学的、電気化学的表面処理や塗装などさまざまな表面処理が用いられています。中でもアルマイトとして知られている陽極酸化処理を施すことにより、より美しく、耐食性、耐摩耗性を飛躍的に高めることができます。デザインや機能にあわせた表面処理を施すことにより建築内外装や高欄、照明ポールをはじめとする道路関連製品などの幅広い分野での使用を可能としています。
5.その他の特性
アルミニウムは上記の他にも次のような数々の優れた特性があります。
- 電気を良く通す
- 磁気を帯びない
- 熱をよく伝える
- 低温に強い
- 光や熱を反射する
- 毒性がない
- リサイクル性が良い
材質 | 引張性質 | ブリネル 硬さ (HBS 10/500) |
疲れ強さ (N/mm2) |
|||
---|---|---|---|---|---|---|
引張強さ (N/mm2) |
耐力 (N/mm2) |
伸び(%) | ||||
板 (1.6mm厚) |
棒 (12.5mm径) |
|||||
5052-O | 195 | 90 | 25 | 27 | 47 | 110 |
5052-H32 | 230 | 195 | 12 | 16 | 60 | 115 |
5052-H34 | 260 | 215 | 10 | 12 | 68 | 125 |
5083-O | 290 | 145 | - | 20 | - | - |
6061-T4 | 240 | 145 | 22 | 22 | 65 | 95 |
6061-T6 | 310 | 275 | 12 | 15 | 95 | 95 |
6063-T4 | 170 | 90 | 22 | - | - | - |
6063-T5 | 185 | 145 | 12 | - | 60 | 70 |
6063-T6 | 240 | 215 | 12 | - | 73 | 70 |
注)上記は代表値であり、保証値ではありません。